イテレータ(Iterator)とは、コレクション(リスト、セット、マップなど)の要素を順番にアクセスするためのデザインパターンおよびオブジェクトのことです。
イテレータを使用することで、コレクションの内部構造に依存せずに、要素を一つずつ取り出して操作することができます。
イテレータの基本概念
イテレータには以下の基本概念があります。
初期化(Initialization)
イテレータは、コレクションの最初の要素を指す位置に初期化されます。
次の要素への移動(Traversal)
イテレータは、次の要素へと順次移動しながら、各要素にアクセスします。
終了条件の確認(Completion Check)
イテレータは、コレクションの末尾に到達したかどうかを確認します。
イテレータのメソッド
イテレータには、通常以下のようなメソッドが提供されます。
hasNext()
次に要素が存在するかどうかを確認します。
存在する場合はtrueを返し、存在しない場合はfalseを返します。
next()
次の要素を返し、イテレータを次の位置に移動させます。
コレクションの末尾に到達している場合、このメソッドは例外をスローします。
remove()
現在の要素をコレクションから削除します。
このメソッドの呼び出しは、next()メソッドの呼び出し後に一度だけ許可されます。
イテレータの利点
イテレータを使用することには以下の利点があります。
コレクションの抽象化
イテレータを使用することで、コレクションの内部構造を知らなくても、要素にアクセスすることができます。
一貫したインターフェース
異なる種類のコレクションに対して、一貫した方法で要素を取り出すことができます。
安全なコレクションの操作
イテレータを使用することで、コレクションの要素を安全に削除することができます。
イテレータの使用例
イテレータは、以下のような場面で使用されます。
リストの遍歴
リスト内のすべての要素にアクセスして処理を行う際に、イテレータが使用されます。
セットの操作
セットのすべての要素を一つずつ取り出して操作する場合に、イテレータが役立ちます。
マップのエントリの処理
マップのキーと値のペアに順次アクセスして処理を行う際に、イテレータが使用されます。
結論
イテレータは、コレクション内の要素を順番にアクセスするための便利なデザインパターンおよびオブジェクトです。
コレクションの内部構造に依存せずに要素を操作でき、一貫したインターフェースを提供することで、柔軟で安全なコレクション操作が可能となります。
イテレータの理解と適切な使用は、効果的なプログラム設計とコレクション操作において重要です。