応用情報技術者試験の暗号技術:公開鍵暗号方式とは?
公開鍵暗号方式(Public Key Cryptography)とは、暗号化と復号に異なる鍵(公開鍵と秘密鍵)を用いる暗号方式です。
一般に、暗号化には公開鍵を、復号には秘密鍵を使うため、鍵を安全に共有する必要がないという大きな特徴があります。
公開鍵暗号方式の仕組み
- 2つの鍵(公開鍵・秘密鍵)がペアとして生成される
- 公開鍵: 誰でも入手・使用可能(暗号化に使う)
- 秘密鍵: 所有者だけが保持(復号に使う)
- 一方の鍵で暗号化したデータは、もう一方の鍵でしか復号できない
暗号化の流れ(通信の例)
- 受信者が公開鍵を公開する
- 送信者がその公開鍵でメッセージを暗号化
- 受信者が秘密鍵で復号し、内容を読み取る
デジタル署名の流れ
- 送信者が秘密鍵でメッセージに署名
- 受信者は送信者の公開鍵で検証
- 改ざんやなりすましがないことを確認
代表的な公開鍵暗号アルゴリズム
- RSA: 最も代表的な方式。大きな素数の積の因数分解困難性を利用
- 楕円曲線暗号(ECC): スマートデバイスなどに向いた軽量暗号方式
- ElGamal暗号: 離散対数問題を利用
公開鍵暗号方式のメリットと課題
- 鍵配送の安全性が高い(秘密鍵を共有しなくてよい)
- デジタル署名や認証に応用できる
- 処理速度が共通鍵暗号より遅く、大量データには不向き
共通鍵暗号との違い
項目 | 公開鍵暗号 | 共通鍵暗号 |
使用する鍵 | 公開鍵と秘密鍵のペア | 同じ鍵を双方が共有 |
暗号化速度 | 遅い | 高速 |
鍵配布の安全性 | 安全 | 安全な手段が必要 |
主な用途 | 認証、鍵配送、署名 | 大量データの暗号化 |
応用情報技術者試験での出題ポイント
- 公開鍵と秘密鍵の使い分け
- 暗号化/署名の処理の流れ
- 共通鍵暗号との違い・ハイブリッド利用
- RSAやECCなどの代表的なアルゴリズム
学習のコツ
- 「誰がどの鍵を使うか」を図や表で整理
- 署名と暗号の処理順の違いを意識して覚える
- 共通鍵暗号との併用例(SSL/TLSなど)も確認
まとめ
- 公開鍵暗号方式: 鍵の非対称性を利用した暗号方式
- 安全な鍵交換や認証、署名に活用
- 試験では「構造・用途・メリットと課題」の理解が重要
公開鍵暗号方式は、現代のインターネット通信を支える基盤技術です。
応用情報技術者試験では、暗号処理の流れや鍵の役割を正しく理解しているかが問われます。実際の応用例(SSL/TLS、電子証明書など)とあわせて学びましょう。