応用情報技術者試験のサービス管理:ITIL(ITサービスマネジメント)とは?
ITIL(Information Technology Infrastructure Library)とは、ITサービスを効率的かつ安定的に提供・運用するためのベストプラクティスを体系化したガイドラインです。
英国政府が開発したフレームワークで、ITサービスマネジメント(ITSM)の国際標準として広く利用されています。
ITILの目的
- ITサービスの品質と効率の向上
- ビジネスとITの連携強化
- 顧客満足度の向上とコスト最適化
ITサービスマネジメント(ITSM)とは?
ITSMとは、ITサービスの計画・提供・運用・改善をマネジメントする活動全体を指します。
ITILはそのための標準的な運用方法を提供するフレームワークです。
ITILの構成(バージョン4の主な構成)
- サービスバリューシステム(SVS): 組織全体の価値創出モデル
- サービスバリューチェーン: 価値創出の6つの活動(計画/改善/関係/設計・移行/取得・構築/提供・支援)
- 34のプラクティス(実践手法): IT運用・開発・組織全体の活動をサポート
- 7つの指針(ガイディング・プリンシプル): すべての活動の基礎にある考え方
代表的なプラクティス(旧バージョンでのプロセス)
- インシデント管理: サービスの中断に迅速に対応し復旧する
- 問題管理: 根本原因を究明して再発防止策を講じる
- 変更管理: サービス変更のリスクと影響を管理する
- 構成管理: 構成要素(ハード・ソフト)の情報を一元管理
- サービスレベル管理: サービス提供条件を明確化・合意(SLA)
ITILの導入メリット
- 運用の標準化・効率化・可視化
- サービス品質の安定化と継続的改善
- 部門間・ベンダー間の共通言語として機能
ITILの認証制度(ITIL資格)
- ITIL Foundation(基礎)
- ITIL Managing Professional/Strategic Leader(実務・戦略)
- EXINやPeopleCertが提供する国際資格
応用情報技術者試験での出題ポイント
- インシデント管理と問題管理の違い
- SLA(サービスレベル合意)とサービスカタログの関係
- 変更管理やリリース管理の目的
- ITサービスの提供と支援に関するプロセス理解
学習のコツ
- プロセス(プラクティス)の名前と目的を覚える
- 「IT運用の現場では何が問題になるか?」という視点で考える
- インシデント・問題・変更などの流れを図解で整理
まとめ
- ITIL: ITサービスを高品質かつ継続的に提供するための運用ガイドライン
- プロセス(プラクティス)の理解と組み合わせが重要
- 試験ではITILの基本用語と運用イメージを押さえることがカギ
ITILは、IT部門を「システム管理」から「サービス提供」へ進化させるための枠組みです。
応用情報技術者試験では、プロセスの目的・役割・関係性の理解が問われるため、図や事例を使って整理すると効果的です。