応用情報技術者試験の開発規模見積り:ファンクションポイント法とは?
ファンクションポイント法(Function Point Method)とは、ソフトウェアの開発規模を機能の数や複雑さに基づいて定量的に評価する手法です。
ソースコードの行数ではなく、利用者視点での機能数に着目する点が特徴で、開発初期の見積りに有効です。
ファンクションポイント法の特徴
- システムの機能や入出力、データ構造の複雑さに基づく
- 言語や技術に依存せず、早期の見積もりが可能
- ベースとなる機能件数と重み付けで客観的に算出される
評価対象となる機能の分類
ファンクションポイント法では、次の5つの機能タイプを評価対象とします:
- 外部入力(EI): ユーザーからシステムへのデータ入力
- 外部出力(EO): システムからユーザーへのデータ出力
- 内部論理ファイル(ILF): システム内部で保持されるファイル
- 外部インタフェースファイル(EIF): 他システムと共有されるファイル
- 外部照会(EQ): 入力+出力の組み合わせ(検索処理など)
基本的な算出手順
- 各機能を数える(例:EIが8件、EOが5件など)
- 機能の複雑さ(低・中・高)に応じて重み付けを行う
- 基本ファンクションポイント(UFP)を算出(件数×重みの合計)
- 調整係数(14の質問項目)により最終ファンクションポイント(AFP)を求める
重み付けの例(標準的な値)
機能タイプ | 簡単 | 普通 | 複雑 |
EI(外部入力) | 3 | 4 | 6 |
EO(外部出力) | 4 | 5 | 7 |
EQ(外部照会) | 3 | 4 | 6 |
ILF(内部論理ファイル) | 7 | 10 | 15 |
EIF(外部インタフェースファイル) | 5 | 7 | 10 |
調整係数とは?
- 14の評価項目(再利用性、移植性、オンライン性など)をスコア化
- 0〜5のスコアで各項目を評価
- 最終FP = UFP ×(0.65 + 0.01 × 総スコア)で調整
ファンクションポイント法の活用例
- 開発工数やコストの初期見積もり
- 他案件との比較・規模感の評価
- ソフトウェア生産性や品質の分析
応用情報技術者試験での出題ポイント
- 5つの機能分類の意味と違い
- 重み付けと基本FP(UFP)の計算
- 調整係数を使った最終FP(AFP)の算出方法
- FP法と他の見積手法(COCOMOなど)の違い
学習のコツ
- それぞれの機能がどのような処理に該当するか例をもとに覚える
- 「何を数えるか」「どこに分類するか」に注意して演習を重ねる
- FPの考え方は“利用者視点”であることを意識する
まとめ
- ファンクションポイント法: ソフトウェアの機能から規模を見積もる手法
- 言語や技術に依存せず、初期段階の見積もりに有効
- 試験では分類・計算・調整の流れと各機能の意味を押さえることが重要
ファンクションポイント法は、早期・定量的・技術中立な見積もり手法として、プロジェクト管理における計画精度を高めるのに役立ちます。
応用情報技術者試験では、基本的な分類・計算方法・利点を確実に理解しておきましょう。