基本情報技術者試験の注目テーマ:再帰(リカーシブ)とは?
再帰(リカーシブ / Recursive)とは、関数や手続きが自分自身を呼び出して処理を行うプログラミング手法です。
繰り返し処理や分割統治型のアルゴリズム(例:フィボナッチ数列や探索処理)で使われ、基本情報技術者試験ではアルゴリズム問題としてよく出題されます。
再帰処理の基本構造
再帰関数は以下の2つで構成されます:
- 基本ケース(終了条件):処理を終了する条件(これがないと無限ループになる)
- 再帰呼び出し:自分自身を簡略化した形で再び呼び出す
例:階乗(factorial)の再帰処理
n!(nの階乗)は、n × (n - 1) × (n - 2) × ... × 1 という積の計算です。
function fact(n):
if n == 0 then
return 1
else
return n × fact(n - 1)
end if
例:fact(3) の処理の流れは次のようになります:
- fact(3) → 3 × fact(2)
- fact(2) → 2 × fact(1)
- fact(1) → 1 × fact(0)
- fact(0) → 1(終了条件)
- 結果:3 × 2 × 1 × 1 = 6
再帰が使われる典型的な処理
- フィボナッチ数列
- 階乗(factorial)
- ハノイの塔
- 探索(木構造や深さ優先探索)
- 整列(マージソート、クイックソート)
再帰とループの違い
- 再帰:関数呼び出しによって繰り返しを実現する
- ループ:for文やwhile文などで繰り返す
- 多くの再帰処理はループで書き換えることも可能
基本情報技術者試験での出題ポイント
- 疑似言語で書かれた再帰処理の正しい追跡
- 関数の呼び出し回数や返り値を正確に把握できるか
- 終了条件がどこで成立するかを見極める力
学習のコツ
- 小さな数値で実行し、呼び出しの流れを書き出してみる
- 「関数がどの時点で終了し、何を返しているか」を明確にする
- 一度で全体を理解しようとせず、ステップごとに考える
まとめ
- 再帰は「自分自身を呼び出す処理」で、分割して解決する問題に有効
- 終了条件と再帰呼び出しがセットであることが大前提
- 試験ではトレース力と終了条件の理解が問われる
再帰処理は一見複雑ですが、構造が分かれば非常に強力な手法です。
試験対策としては、呼び出しの「深さ」や「返り値」に注目しながら、手を動かして学習することが効果的です。